投資信託には、日経平均株価などの特定の指標と同じ値動きを目指すよう設計されたインデックス型と、株価指数を上回るパフォーマンスを目指すよう、特定銘柄を選んで投資するアクティブ型があります。
信託報酬、残高推移、シャープレシオ比較等から、過去のインデックス型とアクティブ型で、資金の推移がどうだったか、どちらのほうがパフォーマンスが良かったかをまとめています。
・アクティブ運用とインデックス運用の概要
アクティブ運用 ベンチマーク(日経平均株価や、S&P500などの指標)を上回る運用成果を目指し、銘柄の入れ替えを繰り返し高収益を狙う。プロのファンドマネージャーが入れ替えの決定を行い売買を行うため、ここにかかる費用が高くなる。そのため売買コストや信託報酬がアクティブファンドでは高くなりやすい。 |
インデックス運用(パッシブ運用) ベンチマーク(日経平均株価や、S&P500などの指標)に連動する運用成果を目指す手法。シンプルな投資法であり、そして、信託報酬も安い傾向にある。市場の平均値のリターンを目指す方法であり、アクティブ運用より値動きが小さい。 |
・アクティブ運用とインデックス運用の比較
手数料(信託報酬)と残高推移
金融庁ホームぺージより、日本の投資信託の信託報酬の推移と残高推移の図を下記に示しました。(出典:金融庁)
アクティブ運用
インデックス運用(パッシブ運用)
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日本の投資信託では、いまだにアクティブ運用での投資額のほうがインデックス運用より相当に大きくなっています。私がそうでしたが、アクティブ運用やインデックス運用といった言葉すら、投資初期のころは知りませんでした。日本では、金融リテラシー(金融に関する知識)に関する勉強をしてこないというのも、影響の一旦があるのではないでしょうか。
米国株式の残高推移を見てみると、低手数料のインデックス(パッシブ)運用の残高が急速に伸びています。また、運用規模の拡大により、手数料を引き下げ、さらに資金があつまるという循環が生じています。 |
シャープレシオ
リスク(標準偏差)を取って運用した結果、無リスク資産から得られる収益(リターン)をどの位上回ったのかを、比較できるようにした指標です。異なる投資対象を比較する際に用いられます。
➡ 数値が大きいと…「効率よくリターンを上げている」と判断できます。
信託報酬控除前と後のシャープレシオ比較を下図に示しました。
アクティブ運用
インデックス運用(パッシブ運用)
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シャープレシオで比較すると、インデックスのほうが、効率よくリターンを上げています。さらに、信託報酬の割合も低くなっています。この点からも、インデックスのほうがアクティブより良いと感じています。
日本と米国のシャープレシオの比較のため下図を示しました。情報がたくさん入っていますが、赤ラインのシャープレシオの平均を比較してみて下さい。米国の運用会社のほうが、効率よくリターンを上げていることが見てとれます。また、米国の運用会社では、アクティブとインデックス(パッシブ)のシャープレシオの差が0.04ポイントしかなく、日本の運用会社よりも、アクティブの成果が良いと読み取れます。(下記グラフ、出典:金融庁) |
米国の運用会社でもインデックスのほうに歩がありますが、その差はわずかで、日本のような大きな差にはなっていません。この結果を見ると、日本の運用会社が扱っている、アクティブ運用の商品は手を出さないほうが良いように感じます。
勝率
書籍「投資の大原則」より、米国の指標での比較となりますが、インデックスがアクティブに勝った割合が示されています。インデックスの1つの指標となるS&P500指数が、アクティブと比べて7割以上の勝率を上げています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。インデックス運用はアクティブ運用と比べて、日々の維持コストとなる信託報酬が安く、そして、シャープレシオの比較から運用成績が優れていて、さらに、勝率も高い、という結果が見て取れました。
運用益の大きく出ているアクティブ運用の商品もありますが、日本全体の平均でみると、インデックス運用(パッシブ運用)には敵いません。ですので、当たるか外れるかわからないアクティブ運用の商品を探すより、堅実にインデックス運用の商品を選ぶほうが良いと感じています。
SBI証券には、2690本(2020年8月)の投資信託の商品があり、そのうち440本がインデックス型となっています。インデックス型の商品の中にも、信託報酬1%を超えるような商品もあります。手数料の差が、運用益に大きくかかわってきますので、信託報酬はしっかり確認してから商品を選ぶことをお薦めします。
チェック
投資信託の基本⑤では、インデックスファンドの手数料として、信託報酬や隠れコストの確認方法と、実際の商品の実質コストの比較を行っております。こちらの記事もご参考下さい。
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