権利付き最終日から翌営業日の権利落ち日には、株価が下落する傾向があります。権利付き最終日では、配当目当てでの購入が増加するため、株価が上昇し、権利落ち日に売却する傾向にあるため株価が下落しやすい。
このとき、取引を行い、値動きを検証してみました。
- 日経平均が下落するとインバースは上昇する。
- 個別株の空売りでは、権利日をまたぐと、配当相当額を支払うことになるため、利益が取れないため。
まず、簡単にそれぞれの言葉のおさらい
【権利確定日】とは…
権利が確定する日であり、この日に株主名簿に記載されておれば、配当や優待がもらえます。
【権利付き最終日】とは…
権利確定日の2営業日前であり、この日までに株を購入すれば、権利確定日に株式名簿に記載されます。
配当や優待が欲しい場合は、権利付き最終日までに株を購入しましょう。
【権利落ち日】とは…
権利付き最終日の翌営業日のこと。株を売却する投資家が増えるため、株価は下落傾向です。
土日はカウントしないため、例を挙げると下の図のようになります。
株価の変動
権利付き最終日の引けから、権利落ち日の寄付きまで、ここ5年の結果からは、80%の確率で下落しています。
日経平均 | 差 (寄付)−(引け) |
|||
権利付き最終日 【引け】 |
権利落ち日 【寄付】 |
|||
2020年 | ||||
2019年 | 21,428円 | 21,354円 | −74円 | |
2018年 | 21,317円 | 20,893円 | −424円 | |
2017年 | 19,203円 | 19,217円 | 14円 | |
2016年 | 17,134円 | 16,985円 | −149円 | |
2015年 | 19,471円 | 19,375円 | −96円 |
5年分のデータですが、かなり高確率で下落しています。では、2020年の結果はどうだったでしょうか。
2020年の結果
2020年も日経平均は権利付き最終日の引け(3月27日)から、権利落ち日の寄付き(3月30日)で下落しました。
2020年 | 日経平均 | 日経ダブルインバース(1357) |
3月27日引け | 19,389.43円 | 1,209円 |
3月30日寄付 | 18,884.07円 | 1,243円 |
変化率 | -2.61% | 2.81% |
検証としては、ここまででよいのですが、ここで、お気づきの方がおられるかもしれません。日経ダブルインバースは2倍の値動きをするETFです。しかし、日経平均が-2.61%も変動しているのにかかわらず、ダブルインバースでは2.81%しか上昇していません。
これは、予測となりますが、指標が計算されるタイミングにずれが生じているのではないでしょうか。
実際、3月27日の15:00の値動きに差が生じていました。
下のチャートは日経平均とダブルインバースの3月27日の引けから3月30日の寄付き時の1分足チャートです。
少し見にくいので、青い点線部分を拡大
日経平均では、27日引けの15:00に大きく上昇し、15:00以降も値動きがありました。
しかし、ダブルインバースでは、15:00にローソク足がありません。15:00ぴったりに値動きを止めています。また、30日の寄付きにも数分値段がついていません。
この値動きが影響して、ダブルインバースは、期待値通りになっていませんでした。
実際取引をしてみて、27日引けの日経の大きな上昇がダブルインバースに反映されていなかったので、30日の朝の寄付き値段は怖いものがありました。
まとめ
権利付き最終日の引けから、権利落ち日の寄付きでは、高確率で下落しています。(2015年以降の日経平均)
2020年も下落し、日経平均は下落する確率が高いことが分かりました。
しかし、インバース株の検証としては、微妙な結果となりました。
- インバースでは値段がつかない時間があったりと、指標に投資するデメリットも見受けられました。
- 2020年を含め6年間で、日経平均は5回下落する結果となったため、インバースは5回上昇しているのかと思いましたが、実際に調べてみると、2回しか上昇していません。(2018年と2020年の値動きの大きかった年のみでした)
おいしい話はないものですね。
個別株の空売りでは、配当相当額を支払うことになりますし、インバース株では、日経平均をしっかり反映できていないため、ここ6年では2回しか利益が取れていません。