空売りとベア株( 上場投資信託(ETF) )は暴落時に利益を狙う取引です。その、メリットとデメリットを紹介します。
ベア(Bear)とは ……
弱気のことで、熊が前足を振り下ろす仕草から【下落相場】を意味します。
日経平均連動のベアであれば、日経平均が下がれば、ベア株が上昇し利益が出ます。
上場投資信託とは ……
Exchange Traded Fundの略称がETFで、日本語で【上場投資信託】と言います。
投資信託と上場投資信託の違いは…?
投資信託が1日1回決まった時間のみの売買なのに対し、上場投資信託は株式取引と同じように取引所が開いている時間であれば、いつでも売買可能です。
ザックリ言うと、いつでも取引可能な株式詰め合わせパックでしょうか。
前置きが長くなりましたが、空売りとベア株の概要とメリット・デメリットを紹介します。
空売りとは
- まだ、持っていない株を先に売る。
- 持っていない株を売るわけなので、証券会社より株を先に借りて、その株を売ります。
- その後、株を借りているわけなので、株を買って、証券会社に返します。
空売りのメリット
下落相場で利益を狙える。
- 株価は値上がりには時間がかかりますが、値下がりは一気に進みます。その暴落を利益に変えることができるため、短期に大きなリターンが得られます。
空売りでヘッジができる。
- 株の現物を購入している場合に、株価が下がったとき、損切りはしたくない。しかし、株価が上がる保証もない。さらなる値下がりが怖い。そういう時に、空売りをします。
- さらに株がさがれば、空売り分は利益に、株の現物は損失になるので、±0となり、損失は増えません。(手数料除く)
ヘッジ(Hedge)とは、「回避」を意味する言葉。 反対の取引を行ない,リスクを相殺しようとするもの。
信用取引のため、レバレッジがかけられる
- 信用取引は自己資金の3倍の取引が出来るため、得られるリターンが大きく出来ます。(ハイリスク・ハイリターン)
3倍まで利用できるだけで、そこまでリスクとる必要もないです…
つなぎ売り(株主優待を得る)
- 保有している現物を売らずに、信用取引で空売りをすることによって値下がりのリスクを回避しながら、現物保有株分の株主配当を得ようとする手法。
空売りでは、配当金はどうなる?
売建の場合には配当相当額を支払います 。現物買いでの配当金の受け取りと、空売りでの支払いで相殺されるため、株主優待のみ得られる手法です。
さらに付け加えると
特定口座(源泉徴収あり+配当受入あり)かつ配当金の自動受取(株式比例配分方式)を選択されている場合、
配当の受け取りは20.315%減った額が入金され(現物買いの分)、配当の支払いは100%全額支払うので(空売りの分)、収支マイナスとなりますが、自動的に損益通算され、現物買いの配当金にかかる税金が翌年1月に還付されます。
空売りのデメリット
損失は無限大
- 現物買いの場合、買った株の価格が倒産で紙くずとなっても、0より低くなることがないため、最悪、購入分のお金の損失で済みます。
- しかし、空売りの場合、株価の上昇は無制限なため、株価が上昇すればするほど損失が増えます。
手数料や保有コストがかかる
- 株式委託手数料
- 信用取引貸株料
- 逆日歩
1の株式委託手数料は、現物買いでも取られるので2と3が追加で必要となるコストです。
2の信用取引貸株料は、株を借りているので、制度信用の場合、年利 1.15%の手数料がかかります。
3の逆日歩は、信用売残高が信用買残高を超えると発生します。証券金融会社は貸し出せる株がなくってしまうため、入札により株式を調達します。この時の貸出料が【逆日歩】です。
空売りすると、逆日歩が発生していなくても、最低でも年利1.15%のコストがかかります。
ベア株・インバース株とは
日経平均やTOPIXといった指数に逆相関した上場投資信託(ETF)で、例えば、日経平均が5%下がると、ベア株やインバース株は反対に5%上昇します。
上場しているため、株式取引所が開いているときは、いつでも購入・売却ができます。
ベア株・インバース株のメリット
下落相場で利益を狙える
- 株価は値上がりには時間がかかりますが、値下がりは一気に進みます。その暴落を利益に変えることができるため、短期に大きなリターンが得られます。
こちらは空売りと同じメリットですね。
リスクヘッジができる
- 空売りと同じように、下落で利益がでるため、リスクヘッジができる。しかし、ベアやインバースは個別株ではないため、完全にリスクヘッジできるわけではありません。
空売りは個別株でできますが、ベアやインバースは指数に連動するため、株式詰め合わせパックを購入することになります。ですので、個別株のリスクヘッジはできません。詰め合わせパック(株式全体)のリスクヘッジとなります。
現物買いと同じ要領で購入できる
- 信用取引は怖い。けど、暴落相場を取りたい…。そういう時に、現物買いと同じように買うことができます。
レバレッジをかけて大きな利益を狙える。
- 例えば、【日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 (1357)】。
こちらのETFの場合、日経平均が2%下がれば、このETFは4%近く上昇します。2倍の値動きをする投資信託です。
レバレッジをかけるとハイリスク・ハイリターンですので、ご自身の判断で…
ベア株・インバース株のデメリット
ボックス相場には向かない。
- 相場が上昇と下落を繰り返すボックス相場では、価格が思うように伸びません。日経平均やTOPIXなどに逆相関するETFのため、仕様上基準価格が下がっていく方向に進みます。そのため、短期トレードで利用することが好ましい。
仕組みは…
【日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 (1357)】を例に、日経平均が5%上下した場合…
- 日経平均が5%下落すると、ダブルインバースは10%上昇します。2日続けて日経平均が5%下落すると、ダブルインバースは21%上昇します。
- 日経平均が1日目5%下落し、2日目5%上昇すると、ダブルインバースは1日目10%上昇し、2日目10%下落します。想定より下がってしまいます。
このように、一方向にのみ動くような相場であれば、大きな利益が得られます。しかし、ボックス相場(上下に動く相場)であれば、想定よりも下がる可能性があります。
まとめ
空売り | ベア(インバース)株 | |
メリット | 下落相場で利益が狙える | 現物買いと同じ要領で購入できる |
リスクヘッジができる | ||
レバレッジがかけられる | ||
つなぎ売りができる(株主優待を得る) | ||
デメリット | 損失は無限大 | ボックス相場には向かない |
手数料や保有コストがかかる |
空売りは信用取引をすることとなり、怖いと思う方もおられると思います。それでも、下落相場を取りたいと考えるなら、日経と逆相関のベア株(上場投資信託(ETF))の購入を検討してはいかがでしょうか。